1966年秋に行われたUKツアーでの録音を中心に構成、USのみでリリースされた初のライヴ・アルバム『ガット・ライヴ・イフ・ユー・ウォント・イット!』。
初期ストーンズの疾走感溢れる演奏や、凄まじいファンの熱狂が詰め込まれたが魅力のこのライブ盤、本国イギリスをはじめヨーロッパでリリースされたのはタイトル違いの『ハブ・ユー・シーン・ユア・マザー・ライブ!』……。
なんだかややこしいその経緯を紐解きます。
Trunk Room Library 蔵書:視聴可(アナログレコード/配信)
1966年『ハブ・ユー・シーン・ユア・マザー・ライブ!』について
ほんの偶然だった。
旅先で訪れた中古レコード店で、値札を見てお手頃な価格だったので、『ガット・ライヴ・イフ・ユー・ウォント・イット!』だと思い込み、即購入。
なのだけど、帰宅して棚に整理しようときちんと見たら、あれ、タイトルが違う?
バッタもんか⁈

よくよく調べてみたら、『ガット・ライヴ・イフ・ユー・ウォント・イット!』はアメリカ(輸出仕様)盤で、イギリス(輸出仕様)盤は『ハブ・ユー・シーン・ユア・マザー・ライブ!』というタイトルで中身は同じであることが判明。
イギリスをはじめとしたヨーロッパでは、このライブアルバムに先立って、シングル『ガット・ライヴ・イフ・ユー・ウォント・イット!』がリリースされているので、それと混同を避けるために別タイトルにしたらしいのだけど、ちとややこしい。

『ハブ・ユー・シーン・ユア・マザー・ライブ!』? 『ガット・ライヴ・イフ・ユー・ウォント・イット!』? そのタイトル違いに関して
ライブ盤としての内容については、『ガット・ライヴ・イフ・ユー・ウォント・イット!』のページに書くので、ここではタイトル違いの経緯のみ。
このUK輸出仕様の『HAVE YOU SEEN YOUR MOTHER LIVE !』のリリースは、1966年12月10日。
USA盤の『GOT LIVE IF YOU WANT IT』のリリースは1966年11月28日。
当時の状況からすれば、ほんの誤差でしかなく、世界同時発売と言ってもいいくらいだ。
現在だったとしてもアメリカ先行発売くらいのニュアンス。
よく『GOT LIVE IF YOU WANT IT』については、アメリカのみのリリースと紹介されるケースが多いが、タイトルじゃなくて、中身という観点からすれば、全世界リリースと言えるだろう。

このややこしさの原因は、前年1965年にヨーロッパ各国でEP盤の『GOT LIVE IF YOU WANT IT』が出ていたことが大きい。
このシングルは、全6曲入りでジャガー・リチャーズ名義の「アイム・オールライト」以外は、ブルースなどのカバーで、内容はLPバージョンと全く違う。
アメリカで最新のライブ盤が企画され、タイトルを決めたとき、ディレクターによるマーケティング的な観点からの選択だったのか、「『GOT LIVE IF YOU WANT IT』ってかっこいいじゃん、そのままでいいんじゃない?」という単なるいい加減さな選択だったのかのは気になるところだが、知る由はない。
もう一つ、気になるのは、アメリカ盤が「望むなら、手に入れることができる」や「やりたいなら、やっていい」という意味のタイトルになってから、「お母さん見た?」というイギリス盤のタイトルが決まったのか、そもそもこちらのタイトルが先に決まっていたのか。
ストーンズの言葉選びには、あまり哲学性はないと思っているので、どちらでも良いのだが。

日本盤はどっち?
で、僕が現在持っているレコードは、『ハブ・ユー・シーン・ユア・マザー・ライブ!』の日本盤レコードなのだけれども、日本盤でもよく見かけるのは、『ガット・ライヴ・イフ・ユー・ウォント・イット!』のほう。
当時は、どういう順番で入ってきて、いつ『ガット・ライヴ・イフ・ユー・ウォント・イット!』に統一されていったのかも知りたかったのだけど、現在のところ、わからず。
コツコツ現物を入手し、判明したら、追記します。

ジャケット・デザインの違い
ジャケットはUSA盤・UK盤ともほぼ同じデザインだが、もちろんタイトルのロゴは変更されている。
また、右上にDECCAのロゴがあり、表面がコーティングされている。
関連映像
アナログ盤
アナログ盤愛好家として気になる中古価格相場は、激レアなアイテムではないが、『ガット・ライヴ・イフ・ユー・ウォント・イット!』より少しだけプレミアが付いているのが一般的なようだ。
配信サービス/サブスク
『have you seen your mother LIVE!(Got Live If You Want It!)』収録曲
A面
アンダー・マイ・サム – Under My Thumb 2:54
一人ぼっちの世界 – Get Off Of My Cloud 2:54
レディ・ジェーン – Lady Jane 3:08
ノット・フェイド・アウェイ – Not Fade Away (Buddy Holly / Norman Petty) 2:04
恋をしすぎた – I’ve Been Loving You Too Long (Otis Redding / Jerry Butler) 2:55
スタジオ録音へのオーヴァーダビング、1965年5月11日。
フォーチュン・テラー – Fortune Teller (Naomi Neville) 1:57
B面
ラスト・タイム – The Last Time 3:08
19回目の神経衰弱 – 19th Nervous Breakdown 3:31
タイム・イズ・オン・マイ・サイド – Time Is On My Side (Norman Meade) 2:49
アイム・オーライト – I’m Alright 2:27
マザー・イン・ザ・シャドウ – Have You Seen Your Mother Baby, Standing in the Shadow? 2:19
サティスファクション – (I Can’t Get No) Satisfaction 3:05
規格番号はモノラルLK 4838、ステレオSLK 4838です。
参加ミュージシャン
ミック・ジャガー (vo, harp他)
キース・リチャード (g, vo)
ブライアン・ジョーンズ (g, harp, dulcimer)
ビル・ワイマン (b)
チャーリー・ワッツ (ds)
アディショナル・ミュージシャン
イアン・スチュワート (ピアノ)
プロデューサー
アンドリュー・ルーグ・オールダム





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